複素行列について8枚のスライドでまとめてみたら

 行列についてまとめた際、実行列について話しましたが、成分が複素数の複素行列を扱うともっと一般的な話ができます。ということで、今回は更に一般的な行列の話をします。


 交換子は、積の順序を変えた時に出るお釣りのようなものです。交換子が0であれば積の順序を気にしなくて良くなるので、交換子が0であることを可換と言います。

 行列は、対角化可能な方が扱いやすく、同時対角化可能なら、なお扱いやすいです。


 行列は、対角化可能な行列と冪零行列の和で表せます。冪零行列も、何乗かすると0になるので、まあまあ扱いやすいです。

 本当は対角化できた方が扱いやすいのですが、対角化できない行列もあるので、そういう場合はジョルダン標準形にするとまだ扱いやすいです。


 行列の冪乗は、対角化可能なら簡単に計算できます。もっと言うと、冪関数の和(無限和を含む)で表せるような関数は、対角化可能な行列に対して簡単に定義できます。

 どんな行列に対しても行列指数関数は定義できます。例えば、2乗して0になるような冪零行列Nは、1+Nのように表せます。指数関数と言っているのに2乗以上の項が消えて、あまりにも簡単な形になってしまうので、慣れないうちは不思議な感じがするかもしれません。


 行列対数関数は、0の対数をとれないように、行列式が0の行列に対しては定義できません。

 ケーリー・ハミルトンの定理のおかげで、行列の固有値の重要さが分かりやすくなります。


 今回は、行列について割と一般的な話をしました。行列を対角化して見やすくしたり、行列の関数を考えたりするようになってから、やっと行列を普通の数と同じように扱えるようになった気がしました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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