連続群について8枚のスライドでまとめてみたら

 連続群と呼ばれるリー群の中でも、コンパクトリー群と呼ばれる回転に関する群は色々とあります。多元数のスライドに書いてあったような知識を前提として、コンパクトな単純リー群について話をします。


 回転には色々ありますが、今回はそんな単純リー群について見ていきます。

 有限の回転(リー群)をそのまま扱うのは大変なので、無限小回転(リー代数)を扱った方が基本的に楽です。有限の回転は無限小回転の繰り返しで表せるので、リー群を調べるためにはリー代数を調べればよく、リー代数を調べるためには構造定数が分かればよいです。


 構造定数を知るために、上手く生成子の線形結合を取り直したり、同時対角化したりします。そうすれば、生成子をカルタン演算子と昇降演算子で見やすく書き直すことができます。結局、構造定数を知るためにルートが分かればよいということになります。

 ルートを単純ルートで表してみます。最終的に、単純ルートどうしの関係が分かればリー代数について、そしてリー群について調べたことになります。


 単純ルートの関係を表した図をディンキン図と呼びます。可能なディンキン図を調べると、単純リー群はこれで全てだと分かります。ところが、全ての情報が詰まっていると言っても、あまりにも単純な図で直感的なイメージがつかみにくいので、ここからはそれぞれのリー代数について個別に見ていこうと思います。

 例外型ではない方の単純リー群を、古典型単純リー群と呼びます。実空間の回転は、奇数次元と偶数次元に分けて考えた方がよいことがディンキン図から分かります。


 一例として、A1について考えてみます。2次元の複素空間の回転su(2)と、3次元の実空間の回転so(3)のリー代数は同じものになります。正確には、リー群に関してSU(2)はSO(3)の2重被覆になっています。雑に言うと、SO(3)がダブったものがSU(2)なので、大体同じ構造をしています。

 八元数は非結合代数なので、普通に扱うのは大変ですが、微分代数を用いることで5つの例外型単純リー群を生み出すことができます。


 コンパクトリー群について色々知ってとても楽しかったのですが、やはり3次元を超えると実感が湧かないですね。でも、どうせ数学をやるなら、3次元を超える高次元について考えてみたり、日常では考えないようなことを考えてみたり、それぐらいのことはしたいですね。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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