行列

 2つ以上の方程式の組のことを連立方程式と言います。何個も方程式を書くと大変なので、行列を使って表現すると見やすくなります。そのように書き直した式は、4つの成分(a1,a2,b1,b2)を持つ行列がベクトル(x y)をベクトル(c1 c2)に移動させている、という意味になります。計算の規則として、横ベクトル(横向きに成分を並べたベクトル)と縦ベクトル(縦向きに成分を並べたベクトル)が並んでいる時に、2つのベクトルのドット積(各成分どうしの掛け算を足したもの)を計算します。行列を、2つの横ベクトルが並んだものとして考えて、縦ベクトルとのドット積を計算すればいいのです。このような計算を考えれば、複雑な連立方程式を行列を使って見やすく書き直せます。

 この行列の性質を見るために、(1 0)と(0 1)をこの行列を使って移動させると、それぞれ(a1 a2)と(b1 b2)に移動します。これが意味するところは、(1 0)と(0 1)を単位とした座標(よく使う直交座標)が、(a1 a2)と(b1 b2)を単位とした座標に写っているということです。例えば、(cosθ sinθ)と(ーsinθ cosθ)の2つの縦ベクトルからなる行列は、元のベクトルをθ回転させます。



 行列の魅力は、連立方程式を解くときに便利なことや、数のように計算できることにあります。つまり、ベクトルをベクトルに写す性質と、四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)ができる性質です。私は行列が使えるようになって、ばらばらに解いていた連立方程式がまとめて解けるようになったので、以前は面倒だと思っていた計算に少しだけ愛着が湧きました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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