円関数
e(=2.718281828…)のx乗は、微分しても変わらない関数で、1+x+…というxのn乗の足し合わせで表せます。ここで、マイナス掛けるマイナスがプラスになるのがなぜかを考えてみましょう。これは、2回後ろを向くと一回転して前を向くのと同じです。つまり、マイナスの掛け算には回転の要素が入っているのです。ここで、左を向くことも考えてみましょう。2回左を向くと半回転して後ろを向きます。3回左を向くと右を向き、4回左を向くと一周回って前を向きます。このような、左を向くような数、2乗してー1になる数iを用意します。i(左向き)は、2回掛けると-1(後ろ向き)、3回掛けるとーi(左を向いて後ろを向く、つまり右向き)、4回掛けると1(前向き)となります。このiのおかげで、前と後ろにしか行けなかった数が、前後左右に自由に動けるようになりました。早速、eのix乗を考えてみましょう。iの2乗がー1になることに気をつけながらeのx乗のxをixに置き換えると、iが掛かっていない部分と掛かっている部分が出てきます。それぞれの部分をcosx、sinxという関数として考えると、偶関数と奇関数になっています。
cosxは偶関数(cos(ーx)=cosx)、sinxは奇関数(sin(ーx)=ーsinx)なので、eのix乗をcosxとsinxで表すと、eのーix乗はsinxの部分がマイナスになります。この2つの式を使えばcosxとsinxをeのx乗とeのix乗を用いて表すことができます。ixとーixを入れ替えると、確かに偶関数と奇関数になっています。
ところで、eのix乗とeのーix乗の掛け算を考えると、これはeのix乗をeのix乗で割った数、つまり1になります。これをcosxとsinxを用いて計算すると、cosxとsinxの2乗の和が1になります。これは、三平方の定理から、cosx、sinx、1という長さの辺を持つ直角三角形が描けることを意味します。このことから、円関数は三角関数と呼ばれることが多いです。この直角三角形を意識しながら、cosxとsinxを軸に取り、グラフを描くとこれは半径が1の円になります。ちなみに、角度θの直角三角形の横はcosθ、縦はsinθになります。この角度θは円周率π(=3.14…)を半周(180°)とした角度です。数学では数の性質を学びたいので、°などの単位はない方が良く、この角度の取り方が普通です。°を使った角度とは、90°=π/2、180°=π、360°=2πのように対応しています。
今回使ったiという数字ですが、円関数が出てくることからも分かるように、とても使い勝手が良いです。iを使うことで、前後に直進するだけでなく、やっと左右にも散歩できるようになったからです。私は、円関数を使うようになって、やっと物理ができるようになったので、成長を感じて嬉しかったです。
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