双曲線関数

 xの偶数乗を合わせた関数は偶関数、xの奇数乗を合わせた関数は奇関数と言います。マイナス掛けるマイナスはプラスなので、偶関数はxをーxに換えても同じ値になり、逆に奇関数はxをーxに換えると値がマイナスになります。どういうことか見てみましょう。

 eのx乗は微分しても変わらない関数で、xのn乗は微分すると肩の数が下りてきて肩の数が一個減ります。これらを満たすように、eのx乗をxのn乗の足し合わせで表現してみます。n!は1からnまでの掛け算です。例えば、3!=3×2×1=6です。すると、1+x+…は微分しても変わりません。ひとつひとつ見てみましょう。


1はxの0乗なので微分して肩の数字が下りて0です。


xはxの1乗なので微分して1です。


xの2乗の微分は2xですが、ここではそれを2で割ってあるのでxが出てきます。


という風に、微分するとベルトコンベアーのようにxのn乗が左にずれてきます。それが無限に続いているから微分しても変わらない訳です。また、eの0乗は1なので、xに0を入れても式は成り立ちます。


 この式を信じて、eのx乗を偶関数(coshx)と奇関数(sinhx)に分けてみると、確かに、

cosh(ーx)=coshx

sinh(ーx)=ーsinhx

と、偶関数と奇関数になっていることがわかります。

 eのx乗をcoshx+sinhxと分けて表すことができました。ここで、eのーx乗を考えると、sinhxの方にだけマイナスが付きます。これらの式から、coshxとsinhxをeのx乗とeのーx乗で表すことができます。xとーxを入れ替えると、確かにcoshxはそのままで、sinhxにマイナスがつくのが分かります。

 では、eのx乗とeのーx乗を掛けてみましょう。eをx回掛けて、それをx回割ることになるので、これは1になります。そして、これをcoshxとsinhxで計算すると、2乗引く2乗が1と等しい、という式が出てきます。この式で、coshxが1の時にsinhxは0、coshxが2の時にsinhxはルート3(1.732…)、という風に計算してcoshxとsinhxを軸にグラフを書くと、双曲線という曲線になります。双曲線の例としては、y=1/xのような曲線があります。



 今回は、双曲線関数について見ました。coshxはひもがたわむ時に描く曲線で、身近な曲線です。私は双曲線関数が身近な曲線だと知ったとき、わざわざ名前があるのにはちゃんとした理由があるんだな、と思いました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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