微分

 微分とは、傾きを求めることです。物理をやる上で、私たちは微分ばかりすることになります。というのも、物の動きを捉えたい時に私たちがするのは、いつ、どこにいたかを知ることではなく、速さがどのくらいかを知りたいからです。この速さこそが、まさに位置の時間微分です。例えば、1秒間に何メートル進むか、ということです。今回は、微分について見ていきましょう。

 f(x)を、xを使った式だとします。今、傾きを求めたいのですが、傾きがそこら中で変わっていて、普通に求めるのは大変です。ここで、一部を大きく引き伸ばすと、なんと曲線が直線に見えるではありませんか。このように細かくして傾きを求めることを微分と言います。ここでは、微分はdf/dxとなります。dxはxがどれだけ増えたか、dfはxがdxだけ増えた時にfがどれだけ増えたかを表しています。dxもdfも大きさを持った0だということに気を付けましょう。計算はできるけど、最終的に0になる数だと思ってください。想像しにくければ、0だと思えるくらい小さな数(例えば0.001とか)だと思っても大丈夫です。


 難しいことを言いましたが、計算の最後でdxは0になるので計算自体は楽だったりします。例えばxの2乗の微分は、分子が2xdxとdxの2乗になるのですが、dxの2乗は分母と約分して最終的にdx、つまり0になるので、結局2xdxをdxで割って2xが傾きになります。例えば、x=1なら傾きは2、といった具合です。同様に計算すると、xのn乗の微分は、肩の数字が下りてきて肩の数字が一個減ります。

 唐突ですが、eのx乗を微分してみましょう。まずはeが何かは気にせず、何かのx乗を微分したらどうなるか、という話を始めます。すると、eのx乗を分子から抜き出すことができます。あとは、この残ったものが1になるなら、eのx乗は微分しても変わらないことになります。実際に計算してみるとeは2.7くらいになります。計算は、dxをとても小さい数にするだけです。例えばdx=0.01として計算すれば、eは1.01を100乗した数になり、ちゃんと2.7くらいになります。

 更に、eのx乗の逆関数をℓnxとします。逆関数とは、例えば、x+1とxー1、2xとx/2は互いに逆関数です。1足して1引いたり、2を掛けて2で割ったりしたら元の数xに戻りますよね。順序を変えて、1引いて1足したり、2で割って2を掛けても元の数xに戻ります。実は、xの関数をyとすると、y=x+1とy=2xの逆関数は、xとyを入れ替えて、x=y+1とx=2yのようにすれば求められます。つまり、グラフの縦と横を入れ替えれば逆関数になる訳です。


 では、ℓnxの微分を導きましょう。ここで、eのℓnx乗を微分します。分母分子にd(ℓnx)を掛けると、eのx乗は微分しても変わらないので、eのℓnx乗もℓnxで微分すれば変わりません。あとは、eのℓnx乗はxと同じなので、xに置き換えて式を簡単にしましょう。一方、eのℓnx乗をxに置き換えてから微分すると、dx/dxとなり、約分して1になります。2つの式を組み合わせれば、ℓnxの微分は1/xになります。



 今回は、冪関数(xのn乗)、指数関数(eのx乗)、対数関数(ℓnx)の微分をやりました。この3つが微分できれば、普通の関数はこれらの組み合わせで表せるので、ほとんどが微分できることになります。導くのが面倒な人は、この3つは覚えてもいいかもしれません。というか、この3つは微分していれば自然と覚えてしまいます。


 私は、微分ができるようになって、そんなのずるいや、と思いました。いや、いい意味でです。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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