統計力学について8枚のスライドでまとめてみたら
量子力学の話は基本的に小さいスケールでの話なので、普通のスケールの話にするためにはその統計をとる必要があります。今回は統計力学についてお話ししようと思いますが、その前に解析力学という、力学の基本について解説します。
ラグランジュの未定係数法とは、何らかの条件の下で、何らかの関数の最大値や、最小値を知るために使われます。特に物理では、余計なことをしなければ物質はエネルギーが最低の状態にとどまろうとするので、そのようなエネルギーを求める際に重要です。
最小作用の原理によって、最初と最後の位置を決めれば運動方程式が求まり、物質はそれに従って運動します。ただし、ここでは物質は量子力学的にぼやけておらず、ある決まった位置と運動量を持つ点だとしています。
ラグランジアンは位置と速度の関数で、速度で偏微分すると運動量になり、位置で偏微分すると力になります。
回転の運動に関する運動量と力に対応するものは、角運動量とトルク(ねじり力)と呼ばれるものになります。トルクが働いていない場合、つまり中心力(中心に向かう力や、中心から外に向かう力)しか働いていない場合は、角運動量が保存します。回転方向の運動量が同じなら、角運動量は遠くのものほど大きくなりますが、外に向かって進むとコリオリの力によって回転の方向と逆方向に引っ張られるので、回転方向の運動量が減り、角運動量保存則が成り立ちます。
ラグランジアンをもとに、位置と運動量の関数であるハミルトニアンを作ることができます。この時、ハミルトニアンは全エネルギーになります。
今までは個々の物質に着目していましたが、ここからは全体のエネルギーについて見ていきます。
エントロピーは乱雑さとも呼ばれていて、一言で言えばとることのできる状態の多さを表す指標です。これが0の状態、つまりひとつひとつの状態を足し合わせることで、統計集団というものを導入します。
早速計算してみましょう。ここでは、例として黒体放射を挙げています。黒体とは、全ての光を吸収し、熱によって光を放出するようなものを考えています。つまり、余計なことをしない、ある温度の物質があって、それがどのような分布で光を放出するかというのを計算しています。光は横波で、進行方向に垂直な2方向に振動できることに注意し、また光速を1とすれば波数kと振動数ωが同じになることに気をつけて計算をすると、光の分布ρが分かります。この光の分布より誘導放出の存在が予言され、反転分布(基底状態よりもある励起状態の電子の方が多い分布)を作ることができれば、その状態間のエネルギーの光を連鎖的に誘導放出するレーザーという装置を作ることができます。
統計力学は、量子力学で記述される小さな世界と、私たちが生活している大きさの世界との橋渡しをしてくれます。私は統計力学を学んで、量子力学の不思議な世界観を、少しずつ現実の世界観と対応させられるようになってきた気がします。
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