波の速度

 波の速度には、位相速度と群速度の2種類が考えられます。今回はこれらについて見ていきます。


 まずは、波のうなりについて見ていきます。sin(kx-ωt)という波をΔk、Δωずつずらした波を平均してみましょう。(kは波数、xは位置、ωは周波数、tは時刻を表しています。)


 計算してみると、cos(Δkx-Δωt)という因子が現れます。この因子が波のうなりを表しています。簡単のためにxについてのみ考えると、少し波数(k)が異なる波を重ね合わせることで、どこかで位相(山と谷)が同じでも、少しずつ位相がずれてそのうち逆位相(山と谷が重なる)になり、下図のように波が打ち消し合う部分も出てきます。例えば、微妙に周波数の違う音を同時にならすと、わんわんとうなるのが聞こえます。


 ここで、もともとのk、ωの波と、Δk、Δωのうなりの2つに対してそれぞれ速度を考えることができます。ただし、ΔkとΔωは0に近づける極限をとり、dkとdωのように改めて表記します。そして、位相速度vp=ω/kと、群速度vg=dω/dkを定義します。この時、群速度は微分で表しています。

 位相速度の意味は、位相、つまり山と谷の動く速度なので、見た目通りの波の速度です。一方、群速度は、波を少し変えた時に、その影響が伝わる速度を表しています。つまり、見た目には位相速度で進んでいるように見える波も、実際には、波の変化による情報は群速度によって伝わることになります。


 今回は、位相速度と群速度について見てきました。波は物理のいろんなところで出てきます。群速度について理解した私は、波に詳しくなった気がして、嬉しくなったのを覚えています。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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