行動原理

 行動原理について理解することは、どのようにやる気が出るのかを考えることになります。行動原理には、快感を得るためにやるポジティブなものと、不快感を避けるためにやるネガティブなものがあります。今回は行動原理について自分の考えを話します。


 まず、人は不快感よりも快感を得る方を好みますが、無視されるよりは不快感を得る方がましであることに注意しましょう。「人間は暇だとろくなことをしません。」

(優先順位:快感>不快感>無視)

ここで、無視されるのが嫌で周りに合わせる場合と、自分の個性を無視されるのが嫌で周りに合わせない場合があります。もちろん、自分の個性を守るのは大切ですが、周囲の協力があった方が自分の個性を生かしやすいので、適度に周りに合わせることも大事です。逆に、気の合う仲間を集めることも大切です。合わせると自分の個性が死んでしまうような人に対しては、傷つけて反撃されないように適度に距離を置くようにしましょう。


 ただ、基本的には快感を得ることか、不快感を避けることが行動原理になります。お金(快感を得る手段)と科学(不快感を避ける手段)がずっと大事にされてきたのはこれが理由でしょう。

 次は感情を好き嫌いと強弱の2つの軸で表して考えてみましょう。ここでの「好き」は、慣れている、そばにいたい、というような意味で、「嫌い」は、わからない、消し去りたい、というような意味になります。また、ここでの「楽しい」と「寂しい」の意味は、自分の予測よりも良い結果なら「楽しい」、悪い結果なら「寂しい」と感じることを言っています。感情の強弱は、感情が強いほど直感的に素早く判断し、感情が弱いほど客観的にゆっくり考えます。直感でわかることに関しては直感に従えばいいのですが、直感が働かないことに関しては、考えすぎて間違えることもありますが、客観的に考えて行動するしかありません。ただ、バイアス(偏見)が強すぎる場合には、一度冷静になり、客観的に考えた方がいい答えが出ることもあります。

 先程の話は、ここでの「楽しい」と「寂しい」に対応しています。「楽しい」ことを増やすための攻撃的な立ち回りと、「寂しい」ことを減らすための防御的な立ち回りがある訳です。攻撃的な立ち回りでは成功報酬によってモチベーションが上がり、防御的な立ち回りでは失敗に対する罰によってモチベーションが上がります。喜ぶためのやる気か、不安を解消するためのやる気かの違いですね。楽しさと寂しさは反発するので、逆の動機(報酬ではなく罰、または罰ではなく報酬)を与えられるとかえってやる気がそがれやすいです。やる気が出るような正しい動機を与えられるように気をつけたいですね。

 また、そもそも精神的な余裕がなければやる気が湧きづらいので、自分の居場所を作って安心することも重要です。無条件で自分を受け入れてくれるような温かい居場所を手に入れることができれば、無理に周りに合わせなくても楽しく生きることができますし、困ったときはその仲間と協力することもできます。あと、好きな人達といたり、好きなことを考えたりすることで、バイアス(偏見)が「好き」の方に偏り、何に対しても好意を持ちやすくなり、楽しみやすくなります。

 できることからやるというのも重要です。まだ誰もやっていないことをやろうとしても、難しすぎてできないことはよくあります。その場合は、難しい大きな課題を分割して小さな課題にし、こつこつこなしていきましょう。余計なことを考えると脳はすぐにいっぱいになってしまいます。簡単なことを、ひとつずつ、少しずつ楽しめる範囲でこなしていけば、いずれ難しいこともできるようになり、それが自分の自信や力になって、もっと色んなことができるようになります。大事なのは動き続けること、急がば回れとはこの事ですね。

 最後に、感情が強くなりやすい人間と感情が弱くなりやすい人間は、そもそもの行動原理がかなり異なるので、それについて補足します。実は、感情が強く直感的で判断が素早い行動的な人間が社会においては大多数で、感情が弱く冷静でじっくり考える人間は少数になります。ここで、感情の強い人間ほど友達をたくさん作ろうとし、感情の弱い人間ほど少ない友達をじっくり考えて選び抜こうとします。このように、感情の強い協調的な大多数の人間を、感情の弱い冷静な一部の人間がまとめることにより社会は団結し、成立してきました。感情の強い人間は感情の弱い人間の客観的で合理的な判断に助けられ、感情の弱い人間は感情の強い人間の数の力によって支えられます。ただし、この合理的な判断は、他の大多数の人間の意見を聞き、その大勢が納得するような判断である必要があります。また、他の大多数の人間をまとめるルールは分かりやすい方がいいため、なるだけ単純である方がよいです。このような感情の弱い人間は、他の多くの人間と違うために人間関係のストレスを抱えやすいですが、じっくり考えることで一人で楽しむことができます。そうして生まれたアイディアで多くの人を助け、集団に認められ、逆に支えてもらえるように頑張りましょう。


 今回は行動原理について自分の考えを話しました。やる気を出すためには、落ち着ける居場所が必要で、そのためには気の合う仲間を集めることが大切だと思います。ただし、環境に言い訳しても始まらないので、比較的気の合う人を探して、多少もめてもお互いに話し合い、感謝を忘れずに生きていきたいです。


ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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