合同式

 数を見て2、3、5、7、11、13などで割れるかどうかはどうしたら分かるのでしょうか。余りに注目する合同式を使って考えましょう。



 2で割れるかどうかは、一桁目が2で割れるかどうか(0、2、4、6、8のどれか)で決まります。何故かというと、10が2で割れるからです。(mod 2)が2で割った余りを考えるという意味で、≡は余りが同じだという記号だとすると、


10≡0(mod 2)


と表せます。余りが同じものを同一視するという意味は、2を足し引きしたものを同一視するという意味で、時計で15時のことを(12を引いて)3時と言うような感じです。そういう意味では、0と1しか数字がない時計で考えているような感じです。


 両辺を2乗、3乗していけば、


10≡100≡1000≡…≡0(mod 2)


が分かります。これが一桁目だけが問題になる理由です。例えば234なら、


234≡2×0+3×0+4≡4≡0(mod 2)


と割り切れます。100と10が0なので、一桁目が2で割れればその数は2で割れます。



 5で割れるかどうかも、一桁目が5で割れるかどうか(0か5のどちらか)で決まります。先ほどと同様に、


10≡0(mod 5)


なので、両辺を2乗、3乗していけば、


10≡100≡1000≡…≡0(mod 5)


となり、例えば234なら、


234≡2×0+3×0+4≡4(mod 5)


となり、余りは4です。



 3で割れるかどうかですが、


10≡1(mod 3)


なので、両辺を2乗、3乗していけば、


10≡100≡1000≡…≡1(mod 3)


となり、例えば234なら、


234≡2×1+3×1+4≡9≡0(mod 3)


と割り切れます。つまり、全ての位の数を足して3で割れれば元の数も3で割れる訳です。



 11で割れるかどうかですが、


10≡ー1(mod 11)


なので、両辺を2乗、3乗していけば、マイナス掛けるマイナスはプラスなので、


10≡1000≡100000≡…≡ー1(mod 11)

100≡10000≡1000000≡…≡1(mod 11)


となり、例えば234なら、


234≡2×1+3×(ー1)+4≡3(mod 11)


となり、余りは3です。つまり、全ての位の数を交互に足し引きして、11で割れれば元の数も11で割れる訳です。ここで、余りの話でー1が出て混乱しているかもしれませんが、11を足して、


-1≡10(mod 11)


とすればプラスになります。つまり、ここでは-1を11で割ると余りは10になる、という考えのもとで計算しています。



 7と13で割れるかどうかは、少し難しくなります。


10≡3(mod 7)

10≡ー3(mod 13)


として、両辺を3乗すると、


1000≡27≡ー1(mod 7)

1000≡ー27≡ー1(mod 13)


となります。ここで、


28≡7×4≡0(mod 7)

26≡13×2≡0(mod 13)


を使いました。この3乗した式を更に2乗、3乗していくと、


1000≡1000000000≡…≡ー1(mod 7)

1000≡1000000000≡…≡ー1(mod 13)


1000000≡1000000000000≡…≡1(mod 7)

1000000≡1000000000000≡…≡1(mod 13)


となり、例えば12021なら、


12021≡12×(-1)+21≡9≡2(mod 7)

12021≡12×(-1)+21≡9(mod 13)


となり、7で割った余りは2、13で割った余りは9になります。つまり、三桁ずつ交互に足し引きして、7で割れれば元の数も7で割れ、13で割れれば元の数も13で割れます。例えば、999999や、234234などは、三桁ずつ交互に足し引きすると0になるので、7でも13でも割れます。実は、一桁ずつ交互に足し引きしても0になるので、11でも割れます。これは、


1001=7×11×13


であることを示唆しています。なぜなら、


999999=999×1001

234234=234×1001


だからです。実際、7と11と13を掛けると確かに1001になります。



 今回は、≡を使った計算を見てきました。≡は「合同」と読み、これを使った式を合同式と言います。私は合同式を使えるようになって、10進法がいかに優れているかを知り、10進法に愛着が持てるようになりました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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