三平方の定理

 三平方の定理は、直角三角形の長い辺の2乗が、短い辺の二乗の和と同じになるという定理です。これが正しいことは、一辺が直角三角形の短い辺を足した長さの正方形を2つ書くと分かります。大きな正方形は同じ面積で、4つの灰色の三角形も同じ面積なので、残った白い部分も同じ面積になります。ちなみに、長い辺は短い辺の2乗の和のルートになります。これは、長さなのでプラスの方だけ考えればよいためです。

 同様に、短い辺は長い辺と残りの辺の2乗の差のルートになります。

 例えば、辺の長さが1の正方形を対角線で半分にした直角三角形から、正方形の対角線の長さが√2であることがわかります。また、辺の長さが2の正三角形を半分にした直角三角形から、正三角形の高さが√3であることがわかります。

 次は、ベクトルという矢印を使った、一般的な計算をしてみましょう。先ほどのように長い辺や短い辺は気にしなくていいです。三角形の好きな二辺をベクトルに変えると、向きがあるので、残りの辺は二辺をベクトルに変えたものの引き算で表せます。ベクトルの引き算は逆向きのベクトルを足すことに注意してください。あとは、このベクトルの引き算で表した辺を2乗すればいいのですが、最初に選んだ2つのベクトルの二乗は長さの2乗としても、2つのベクトルどうしの掛け算が残ってしまいます。他の掛け算は全て数になっているので、このベクトルどうしの掛け算も数になるはずです。この掛け算をドット積と呼びます。計算の仕方は、片方のベクトルを分解し、もう片方のベクトルと平行なベクトルと、垂直なベクトルに分けます。あとは、垂直なベクトルどうしのドット積が0になるとすれば、あとは平行なベクトルしか残っていないので、普通の掛け算と同じです。同じ向きのベクトルどうしの掛け算はプラス、逆向きのベクトルどうしの掛け算はマイナスになります。ちなみに、垂直なベクトルどうしの掛け算はクロス積と呼びます。計算結果は両方に垂直なベクトルになり、平行なベクトルどうしのクロス積は0ベクトルになります。0ベクトルはベクトルにおける0のようなものです。クロス積の大きさは2つのベクトルで張る平行四辺形の面積になるので、面積に強い掛け算です。

 今回は、ベクトルどうしの掛け算が二種類あることを見てきました。平行なベクトルどうしの掛け算に対してはドット積という数の掛け算、垂直なベクトルどうしの掛け算に対してはクロス積というベクトルの掛け算を定義しました。


 私は、ベクトルの掛け算ができるようになった時、難しいことを考える人がいるもんだな、と思いました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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