EXAFS公式
光電効果で光電子が出ていく際、出ていく光電子のエネルギーは特に決まっていないので、X線吸収スペクトルの高エネルギー側にピークのすそが現れます。このすそのスペクトルは、周囲の環境に応じて振動し、この領域をEXAFSと呼びます。このEXAFS振動からは周囲の環境の情報が得られるので、フェルミの黄金律からこの振動の関数を求めてみましょう。今回は、一回散乱におけるEXAFS公式を示唆的に導いてみます。
散乱のないスペクトルでくくることによって余計な因子が約分され、球面波として伝搬し、散乱波として帰ってくる部分のみがEXAFS振動関数に寄与します。つまり、スペクトルが振動するのは、そのまま出ていく光電子と散乱波として帰ってくる光電子の位相のずれにより、波が強め合ったり弱めあったりするのが原因です。原子は肉眼で見えないのでどうもピンと来ないという人が多いとは思いますが、可視光ではなく、もっとエネルギーの高いX線などを用いれば直接的に原子を見ることができます。もちろん、他にも原子を見る方法は色々あるのですが、やはり原子を見ることができると感動しますね。私は原子をこのように見ることができて初めて、原子スケールの小さな世界が本当にあるんだと、身をもって実感できた気がします。
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