分子間相互作用

 摂動論を応用して、分子間の相互作用について考えてみましょう。ここで話す相互作用以外にも、トンネル効果が絡む安定化である水素結合というものがあります。ちなみに、ここではイオンと極性分子を単純化して、点電荷と双極子として扱います。



 イオンや極性分子でなくても、分散相互作用により安定化することができます。これと水素結合によって、抗原と抗体の親和性や、酵素と基質の親和性が議論できます。例えば、小さな分子をぴったり包み込むような大きな分子があると、この大小2つの分子の間の親和性が高くなります。

 最後に、全体的な分子間相互作用をざっくり考えてみましょう。実際には斥力的な相互作用もあるはずなので、雑な議論でrのマイナス12乗に比例する斥力的な相互作用を加えると、これはレナード=ジョーンズポテンシャルと呼ばれるポテンシャルになります。正確なポテンシャルではありませんが、大体のポテンシャルの形を知っておくことは良いことだと思います。



 今回は、分子間相互作用について見てきました。中性で無極性な分子の間でも、引力的な相互作用が働くということが分かって、私は純粋に驚いた記憶があります。特に、ひとつひとつは1/rのポテンシャルなのに、全体としてはrのマイナス6乗のポテンシャルになるということを初めて聞いた時、最初は騙された気がしました。しばらくして、摂動論を学んだ後でこのことを納得できるようになったので、摂動論はすごいな、としみじみ思います。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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