フェルミの黄金律

 時間に依存する摂動論と言えばフェルミの黄金律です。単一のエネルギーの摂動であれば光でなくても使えます。今回は、フェルミの黄金律について見ていきましょう。



 緩和の項も書いてありますが、普通は1項目の吸収の項だけが書いてあることが多いです。係数の2πを気にしなければ、遷移振幅の2乗とエネルギー保存を表すデルタ関数の積という、もっともらしい式になります。途中で充分に時間が経った時の極限をとった時の遷移確率が1を超えるどころか無限大になって混乱するかもしれませんが、変なことになっているのは摂動の1次までしか考えていないためです。また、単位時間当たりの遷移確率であればまともな値になるので、2次以降の摂動を無視してもそこまで問題にはなりません。


 最初にこの式を見た時は、何だかそれっぽい式だな、と特に気にも留めず受け入れていたのですが、やはり自分で導けるようになると愛着が湧きますね。適切な近似によって余計な複雑さを排除することができれば、物事の本質が浮かび上がります。この式が導けるようになった私は、近似とは素晴らしいな、とつくづく実感しました。

ポップラーン

数学や物理の「8枚のスライドでまとめてみたら」シリーズを更新しています。少しでも学ぶことの楽しさを伝えられたらと思います。上の方に記事のまとめがあります。

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